堀ちえみの舌がん「ステージ4」公表で歯医者に問い合わせが殺到 〈週刊朝日〉

上田耕司2019.2.25 11:12週刊朝日#がん#ヘルス#病気


舌がんを公表した堀ちえみ (c)朝日新聞社
 タレントの堀ちえみが舌がんを公表して以来、歯科医院に問い合わせが相次いでいるという。都内の歯科医はこう話す。

「『何だかベロが痛い』『ベロに何かできていないか?』という電話や受診依頼がたくさんきています」


堀のがん発覚までの経緯はこうだ。昨年の夏ごろ、舌の裏側に小さい口内炎のようなものができ、治りが遅いので病院を受診。塗り薬や貼り薬、ビタミン剤などを処方してもらったが、それでも治らないので歯科医院を受診し、レーザー治療などを受けた。しかし、痛みはひどくなる一方で、今年1月21日に大学病院を受診。がんの可能性がわかり、最終的に2月4日に「口腔がん(左舌扁平上皮がん)」と診断された。左首のリンパにも転移していることが判明。「ステージ4」の告知を受けた。

前出の歯科医は話す。

「公表されている経緯から、最初の歯科医の診察がちょっとずさんだったのではという印象です。口内炎か舌がんかは、見た目でもわかるし、触ればわかること。最近は歯科医師会が中心になって、舌がんの早期発見を目指そうと各地で研修会を開いています」

一方で、元東京大学医科学研究所特任教授で、血液腫瘍内科医の上昌広・医療ガバナンス研究所理事長はこう話す。

「実は私も、がん治療の最先端を行く病院の内科医だったころ、見落としたことがあるんです。その時は幸い、患者さんが院内の口腔外科をまわった時に、舌がんと診断され、助かりました。歯科医は普段、がんなんて診ないし、一般の人も口内炎だとほっておくことが多いですからね」

 堀の場合、2016年3月ごろ、リウマチを発症し、治療薬を飲んでいた。

「リウマチの治療薬であるメトトレキサートで口内炎ができることはよく知られており、歯科医が疑わなかったのはやむを得なかった面があります。舌がんは進行が早いのが特徴。たぶん、堀さんは最初のころは痛みがなかったはず。口内炎は痛みがありますが、舌がんの初期は痛みがない。入念に聴いていって、疑えばわかったはずですが……」

 堀は22日に手術を受けた。今後治療はどうなるのか。

「簡単ではないでしょう。ただし、左舌扁平上皮がんは、放射線治療や抗がん剤によく反応するので、乳がんや膵臓がんよりも生存率が高い。さらに、昨年ノーベル医学生理学賞を受賞した本庶佑さんの研究が基礎になった『オプジーボ』という抗がん剤が効くのがわかっています」

 再びファンの前で歌声を披露してほしい。(本誌・上田耕司)

※週刊朝日  2019年3月8日号
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