歯愛メディカル、VBと提携 抜いた歯の細胞 培養・保管支援


歯愛メディカル、VBと提携 抜いた歯の細胞 培養・保管支援

2017/7/7 7:00
情報元
日本経済新聞 電子版

 歯科用品通販の歯愛メディカルは、ベンチャー企業のセルテクノロジー(東京・中央)と業務提携した。同社は再生医療への利用を目的として、抜いた歯の細胞(歯髄細胞)の培養・保管する事業を手掛けており、歯愛メディカルが取引のある全国の歯科医に事業を紹介する。通常捨てられる歯を有効活用して、歯髄細胞の安定確保を後押しする。

 セルテクノロジーは全国約1800カ所の歯科医を通じて患者の中から登録者を募り、抜いた乳歯や親知らずから採取した歯髄細胞を培養、凍結保存する「歯髄細胞バンク」を運営している。将来的には、登録者がスポーツや交通事故で脊髄損傷などのけがを負った場合、保存する自分の歯髄から取り出した幹細胞を注入して治療に生かせるという。同社は保存する細胞を本人に限って治療用に提供することを想定している。

 歯愛メディカルはブラシなど歯科材料の通販を通して全国に約6万カ所の医院と取引がある。同社が歯科医に送るダイレクトメールやカタログなどで歯髄細胞バンクを紹介し、事業に協力する認定医になってもらう。契約が成立した場合に歯愛メディカルはセルテクノロジーから仲介手数料を受け取る。

 認定医となった歯科医は患者に対して歯髄細胞バンクへの登録を勧め、登録者から抜いた歯をセルテクノロジーに送る。登録者が負担する歯髄細胞の保管料は最初の10年間が30万円で、11年目以降は10年単位で12万円となる。

 歯髄細胞バンクに登録をしない人に対しても、同意を得るなど手続きをとった上で歯を無償提供してもらう。現在、国内では年間1千万本の歯が捨てられており、これを再生医療研究や創薬に活用する。セルテクノロジーはすでに第一三共エーザイと契約し、神経疾患の治療薬研究に必要な歯髄細胞を供給している。今後も複数の製薬会社と同様の契約を結ぶ方針。

 調査会社シード・プランニング(東京・文京)の予測によると、再生医療の国内市場規模は2030年に1兆1千億円と15年の78倍に増える見通し。歯愛メディカルは最先端の医療技術に早期から関わり、歯科医や診療所への情報サービスを充実させる。

 7月下旬には東京と大阪の営業拠点で、歯科再生医療の第一人者を招いて歯科医向けのセミナーを実施する予定。歯科医が同社の拠点を訪問する機会を増やし、併設するショールームなどを見学してもらうことで歯科用品や医療機器などの拡販につなげる。

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