ナカニシ、歯科医療器具ハンドピース 中価格帯を刷新
ナカニシ、歯科医療器具ハンドピース 中価格帯を刷新
歯科治療器具のナカニシは歯科医師が歯を削るのに使うハンドピースのうち、中価格帯品にあたるステンレス製を刷新する。部品点数を削減してコストを抑えつつ、使い勝手を高めたという。ハンドピースは欧米メーカーとの競合が激しくなっており、価格を引き下げた新製品の投入でシェア拡大を図る。
同社はチタン、ステンレス、アルミの3素材でハンドピースを生産している。このうち、海外でユーザー数の多いステンレス製を刷新する。部品1つ1つの設計を見直し部品点数を削減、1台当たりの価格は10万円以下に引き下げる。空気を送り込んで先端を回転させるタイプは削り心地も滑らかにした。
ナカニシはハンドピースで世界シェア25%と首位に立つ。しかし、最近は新製品投入を見越した買い控えや、ライバルメーカーの追い上げが目立ち始めていた。
新製品は世界的な戦略商品と位置づけ、発売から5年で世界シェアを30%に引き上げることを目指す。
ドイツのケルンで3月中旬に開催される国際展示会「IDS」でお披露目したのち、連結売上高の3割を占める欧州で売り出す。薬事承認手続きを各国で進めており、日本や米国でも順次発売する。
同社は2017年、3カ所に分かれていた研究開発機能を1カ所に集約した。電気回路やモーターなど各部門の開発担当者が密にコミュニケーションできるようにしたほか、最先端の解析シミュレーションソフトも導入。「試作設計のサイクルが早まった」(中西英一社長)といい、新製品開発にも効果を上げたようだ。
18年には新工場も完成し、研究開発と生産それぞれの機能強化にはメドをつけた。総仕上げとして基幹システムの刷新にも着手する。
基幹システムは製品の開発から生産管理、人事労務まであらゆる業務にかかわるが、「現行のシステムはムダが多く、もっとシンプルにできる」と中西社長は話す。このため、社内に専任チームを立ち上げ、改善点の調査に着手しており、20年以降の導入を目指す。システム構築には数十億円を投じる。