【株式ニューカマー】歯科向けから幅広い医療系通販へ事業拡大


【株式ニューカマー】歯科向けから幅広い医療系通販へ事業拡大

 □歯愛メディカル・清水清人社長

 歯愛(しいあい)メディカルは、歯科医院全体の9割以上との取引実績を持つ歯科通信販売のトップ企業だ。独自に商品を開発し、流通システムを内製化していることでコストを抑え、手頃な価格ときめ細かく迅速な対応でシェアを伸ばしている。2017年12月18日には東証プロマーケットから、東証ジャスダックに市場を変更した。清水清人社長は「歯科にとどまらず、医療業界向けに幅広く事業を広げていく」と将来を見据える。

 ◆独自商品で差別化

 --市場を変更した理由は

 「これまで主に歯科医院向けに事業を展開してきたが、今後、病院・診療所、動物病院、介護・福祉施設といった幅広い医療系通信販売業界でのトップを目指す上で、投資が必要になるためだ。16年6月に東証プロマーケットに上場したが、当初から1年間様子を見てから新興市場へ変更しようと決めていたので、ほぼスケジュールどおりに進んでいる」

 --起業のきっかけは

 「勤務医ののち開業したが、関連資材が割高だと感じていた。東京での歯科医師の勉強会のとき、浅草橋の問屋街に立ち寄ると、玩具が非常に安価で販売されていた。子供の患者へのプレゼント用として歯科医院向け販売業者から購入するのと比べ、大幅なコストダウンになると思った。しかし最低購入単位数が多かったので、他の歯科医と共同購入することにした。これが今のビジネスのヒントになり、取扱商品を増やしていった。ガーゼやグローブ、マスクなど共通している商品が多いことから、病院・診療所、動物病院のほか、美容・エステ業界へと販売先を拡大している」

 --なぜ歯科医院向けで通販のトップになったのか

 「歯科医としての知見を生かしたオリジナル商品を企画開発しているからだろう。このため後発での参入だったが急成長できた。歯科医院向け通販市場で6割のシェアを獲得している。例えば介護用としても推奨されている柔らかいシリコン素材で作られた舌クリーナーなどの商品化で差別化している」

 ◆内製化でコスト削減

 --ビジネスモデルの特徴は

 「歯科関連資材は、メーカーから一次卸、二次卸があり、販売業者の営業担当者が各歯科医院を御用聞きをしながら販売する形態が約8割を占めている。しかし当社は自社開発するほか、直輸入して顧客に届けている。カスタマーセンター、ロジスティクスセンターなども内製化してコストダウンを図るほか、ニーズを速やかに反映させることで顧客満足度を高めている」

 --事業の展望は

 「現状では歯科医師・歯科技工所向けの売上高がほとんどを占めているが、幅広く医療・福祉業界向けに売り上げを伸ばしていく。独自開発商品については海外からの引き合いも多く、資本業務提携関係にある医療用酸素首位のエア・ウォーターの販売チャンネルを活用することで、海外市場への展開を加速させる計画だ」

                   ◇

【プロフィル】清水清人

 しみず・きよと 岐阜歯科大(現・朝日大)卒。勤務医を経て、1987年しいあい歯科医院を開業。2000年1月歯愛メディカルを設立し、現職。57歳。石川県出身。

                   ◇

【会社概要】歯愛メディカル

 ▽本社=石川県白山市鹿島町1-9-1

 ▽設立=2000年1月

 ▽資本金=1000万円

 ▽従業員=179人 (17年9月末時点)

 ▽売上高=231億900万円 (17年12月期見込み)

 ▽事業内容=歯科・医療関係者向け通信販売業