「空飛ぶクルマ」を大阪万博までに 世界に負けない“なにわの企業”が開発目指す「人が乗るドローン」(MBSニュース) - Yahoo!ニュース
2019/2/23(土) 10:30配信
もはや夢物語でなくなっている「空飛ぶクルマ」。欧米のメーカーが開発を進めているという報道もありますが、2025年の万博に向け"人が乗るドローン"のプロジェクトに携わる男性が大阪・箕面市にいました。
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「大空を飛ぶ映像をリアルタイムで見たい」歯医者さんがドローン製作
今年1月、近畿経済産業局は国が取り組む「空飛ぶクルマ」構想の実現に向け、水素燃料を使って人を乗せて飛ぶ「HyDrone(ハイドローン)プロジェクト」を発表。大阪府箕面市のドローン製作・販売会社「エアロジーラボ」代表の谷紳一さん(60)が準備委員会の委員長に就任しました。
1970年の大阪万博では「人類の進歩と調和」をテーマに、携帯が可能な夢の「コードレス電話」や勝手に体を洗ってくれる「人間洗濯機」など数々の発明品が発表されました。時は変わって、2025年に開催される大阪・関西万博の会場で、本来は「無人航空機」の総称である「ドローン」に"人を乗せて飛んでみせよう"というのです。西靖アナウンサーが大阪府箕面市にある谷さんの会社を訪ねました。
Q.本業は別にあると?
「本業と言いますと、このドローンの世界に失礼で私の中では同じなんですが…『歯科医』です」(エアロジーラボ・代表取締役CEO 谷紳一さん)
1988年、大阪大学歯学部を卒業後、大阪市平野区に歯科医院を開業した谷さん。下町の歯医者さんは学生時代の仲間と始めた趣味のラジコンから、やがてドローンの製作へとのめり込んで行きます。
「私は初めから空から景色が見たいということで、いきなりカメラ積みだしたんですね。高い所からの景色がすごく好きなんですけども、飛行機乗るの怖いんですわ」(谷紳一さん)
飛行機に乗るのは嫌い、でも大空を飛ぶ映像をリアルタイムで見たい。少年時代からの夢を実現させようと2012年、本格的なドローン専門の会社を設立します。
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ドローンを一から作る専門企業 連続3時間飛行も可能に
新聞販売店だった箕面のガレージを「箕面ベース」と名付け、特殊な3Dプリンターでカーボン・ファイバーのパーツを製作します。コンピューター上で設計した部品もそのまま切り出し、国内でも数少ない"ドローンを一から作る"専門企業となりました。
400万円程度で販売もしているという「自社製ハイブリッド・ドローン」。従来はあらかじめ充電したバッテリーだけで飛んでいましたが、ガソリンエンジンでの発電との組み合わせで飛べる距離が飛躍的に伸びました。去年12月、岡山県和気町の「買い物困難地区」とされる山間部の実験では、この機種が物資約2キロを積んで片道10キロを給油なしで2往復することに成功。連続3時間の飛行が可能になりました。
「ドローンは今、最先端の技術と言われてますが、既成の技術を組み合わせたものなんですね。日本で流行っている中国製のメーカー、あれは完全にパッケージできたんですね。(それまで)ドローンは作る以外ないものだったんですよ」(谷紳一さん)
現在は、母校・大阪大学の学生を中心に若い人たちがインターンとして加わり、搭載する発電機の燃料もガソリンから水素を使ったものに変えるなど、環境にやさしいクリーンエネルギーに改良が進められています。ところが、課題がもうひとつ…
「人間が『安全』に乗れる方法、人間と同じ大きさのマネキンを載せるという意味では作れるのはわかっているわけですが、ただ人が乗るというだけですべてが考えるレベルが変わってくる」(谷紳一さん)
世界的企業と真っ向勝負も「負けないと思う」
谷さんたちのライバルになりそうなのは、航空機最大手・ボーイング社です。今年1月、個人用航空機の試験飛行に成功。エアバスなど世界各社も空飛ぶクルマを開発中ですが、谷さん、ここは強気に出ます。
「ボーイング社はいろんな所に外注し、いろんなものをコーディネートして飛行機を造るというのがボーイング社なんですね。私とこの会社も世の中で手に入る一番いいものを集めてということですから、負けないんじゃないかなと思ってます」(谷紳一さん)
中心社員は50歳を超え、万博の年に谷さんも66歳になる"なにわのおじさん集団"。2025年までに世界的企業と真っ向勝負します。
「2024年中に何とかならんとあかんなと。可能やと思ってますけどね」(谷紳一さん)
Q.ガレージから出発するということでいうと、ほんとにITの黎明期のようなスティーブ・ジョブズみたいな?
「あっ、その名前が聞きたかったんですよ(笑)」
(2月18日放送 MBSテレビ「ちちんぷいぷい」内『ニュースな人』より)
最終更新:2/23(土) 10:30
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