昼食後「すぐの歯磨き」は完全に逆効果(プレジデントオンライン) - Yahoo!ニュース
昼食後「すぐの歯磨き」は完全に逆効果
1/15(火) 9:15配信
ノーベル医学生理学賞の受賞で注目を集めた新しいがんの免疫療法。がんだけではなく、身近な病気でも新しい治療法や薬が次々と現れている。いつも通っている病院での治療は果たして最先端のものなのか。「虫歯」について医師に話を聞いた――。
※本稿は、「プレジデント」(2018年12月31日号)の特集「本当にいい病院は、どっち? 」の特集記事を再編集したものです。
■銀歯ではなく、白プラスチックも保険適用に
しばらく行かない間に常識が変わるといえば、歯科医院もそうだ。虫歯にならなければ歯科医院に行かないという人もまだまだ多いだろうが、海老沢歯科医院の海老沢聡院長によれば、日本人の虫歯は減少傾向にあるという。背景には「食生活や生活習慣の改善があるのではないか」と海老沢氏は推測する。
その代わりに歯科医院での治療も歯石除去や矯正などのメンテナンスに変わってきているという。
歯磨きの常識も変化している。携帯歯ブラシをカバンに常備したり、職場に置いたりして食後に歯磨きをしている人もいるが、「食後すぐの歯磨きは逆効果」と海老沢氏は話す。
「食後は歯の表面が酸で溶けています。そこで歯磨きをしてしまうと、歯に傷をつけてしまうのです。そのうえ、せっかく唾液が十分出ている時間帯ですから、食後30分から1時間は歯磨きをしないことをお勧めしています。健康のためにと黒酢を飲んでいる方や、果物を多くとったときも同じことがいえます」
口腔ケア先進国のフィンランドやノルウェーでは、食後は歯磨きせずにガムを噛むことが推奨されているほど。学校の現場などでは給食後の歯磨きを推奨する歯科医も多いが「高齢な方が多く、知識が更新されていない」典型例だろう。
「歯磨きは、ブラッシングが上手にできないような身体上の理由がある方や喫煙者などハイリスクの方以外は、朝と夜の2回で十分です」
最近は、「酸蝕」つまり、胃酸など虫歯菌以外の原因で歯を傷めて歯科にかかる人も増えている。具体的には逆流性食道炎などが原因のことが多い。
「胃酸が出た後は口の中にイガイガした気持ち悪さが残り歯磨きをしたくなるものですが、やはり歯は傷つきやすくなっていますので、ゆすぐだけにとどめてください」
少なくなってきたとはいえ、虫歯の治療にも変化が起こっているという。もっとも大きな変化は、治療のデジタル化だ。虫歯の被せ物や、歯並びの矯正に3Dのスキャナーが活用されている。
「虫歯は削るところまでの技術は、器具は揃ってきたとはいえ、そこまで変わっていません。ただ、被せ物の進化はめざましい。以前は型取りして、銀歯を作っていました。それが、今では口腔内をスキャンした3Dデータを元に白いプラスチックブロックから削り出す『CAD/CAM冠』が急速に普及しています。銀歯よりも目立ちません」
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海老沢 聡(えびさわ・さとし)
海老沢歯科医院院長
東北大学歯学部卒業。丸の内、京橋、虎ノ門、六本木などの歯科医院で勤務したのち1997年、東京都杉並区に海老沢歯科医院を開院。趣味はテニス。
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伊藤 達也 撮影=研壁秀俊 写真=iStock.com