【シゴトを知ろう】歯科衛生士 ~番外編~ | ニコニコニュース
【シゴトを知ろう】歯科衛生士 ~番外編~
診療補助から雑務までこなし、歯科医院の仕事全体を支えている歯科衛生士。山梨県昭和町の「あまね歯科医院」に勤務する深澤未来さんに伺ったお話の中から、業界事情や衛生士のお仕事の裏側についてご紹介します。
新しい知識を常に取り入れることが大切
―― 業界内にはどんな性格の方が多いですか?
歯科衛生士はさまざまな個性を持った人がいますが、やはり仕事をしていると、いろいろなことに気がつくようになりますね。患者さんの口腔内の些細な変化に気づくことは、治療にとってすごく重要。細かいところまで気を配れる人が多いと思います。
―― 業界内の情報はどのように得ていますか?
セミナーなど、勉強できる機会は多いです。新しい治療方法から、電動歯ブラシの使い方、患者さんとのコミュニケーションの仕方など、内容はさまざま。自分が行きたいセミナーに申し込んで、参加しています。
また、当院ではドクターが歯科医療に関するさまざまな本を揃えてくれるので、それを読むことも多いですね。日常生活でも、テレビの健康番組を参考にすることもありますよ。

―― 業界内で働くにあたって、特に意識したり、制限されることはありますか?
清潔感はとても大事です。寝癖をきちんと直したりするのはもちろんですが、お化粧も濃くなりすぎないように心がけています。
また、グローブはするものの、患者さんの口腔に触れるので、手の衛生はとくに気をつけなければいけません。爪との間で細菌が繁殖する可能性があるので、ネイルアートは厳禁です。爪は常に短く整えておきます。
資格があれば、年齢を重ねても働き続けられる
―― 業界内ではどんなキャリアパスがありますか?
歯科衛生士になるには、専門学校や短大に通い、国家試験を通過する必要があります。試験はマークシートで、実技試験はありません。技術的な面は、臨床実習を重ねて身につけていきます。
私は出産を機に一旦退職したのですが、パートとして戻ってきました。どちらかというと、出産後も戻ってきやすいのが歯科衛生士。医院によっては、産休や育休を取得できるところもあります。「ベテランが良い」という患者さんも多いですし、年齢を重ねても働けると思います。
―― 業務をされてから、一番驚かれたことは何ですか?
歯を失う原因が、磨き残しや細菌以外にあるパターンが案外多かったことです。食いしばりや歯ぎしりなど、歯にかかる大きな力が影響する場合があります。たとえ少しの力でも毎日のことなので、歯にどんどん負担がかかって、歯根が折れたり、歯周病が進行することがあります。
治すには、マウスピースを装着する対症療法の他、疲れや習癖(クセ)を解消する根本治療も必要になります。
患者さん一人ひとりに合った治療がモットー
―― 一般の方に言うと驚かれる業界の常識はありますか?
近年、第三大臼歯、いわゆる「親知らず」がもともと存在しない人が出てきていることでしょうか。現代人はあごの骨格がシャープで口腔内のスペースが狭いので、歯並びが良くなかったり、親知らずが横向きに生えたりしますよね。そして若い世代の中には、親知らずが存在しないという人がいるんです。
これは、食習慣が影響を及ぼすところが大きいんです。生きる上で、歯はとても大切。なるべく小さいうちから、硬い食べ物をしっかり噛んで、健全なあごを形成するのが望ましいです。
―― 歯科衛生士として、一番大切にされていることはなんですか?
患者さんは、一人ひとり年齢層も性別も、ライフスタイルも違います。それぞれに合った対応をすることを大切にしています。
たとえば歯磨き指導でも、まずはいろいろなお話をして、患者さんのことを理解することからはじめます。そこから、「まずは歯磨きの習慣づけが必要」「奥歯の磨き方を改善する」「フロス(歯間ブラシ)を使ってもらう」など、患者さんに合った口腔ケアを導き出しています。
歯科衛生士は、「資格を取りさえすればいい」という仕事ではなく、常に新しい知識を取り入れていかなくてはいけないことが分かりました。一方で、国家資格があるからこそ、ライフステージが変化しても働き続けられる職種。深澤さんも、出産をした後、育児と両立しながら働いているそうです。印象に残ったのは、「まずは患者さんとお話する」という深澤さんの姿勢。丁寧なコミュニケーションが、適切な治療を支えているのですね。
【profile】あまね歯科医院 歯科衛生士 深澤未来
