被災ストレス、歯に負担 熊本市の歯科医師学会報告 - 熊本日日新聞
被災ストレス、歯に負担 熊本市の歯科医師学会報告
2017/12/9 10:10
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ほおのマッサージ部分を示す菅健一歯科医師
熊本地震後に、歯が欠けるなど口の中の環境が悪化した例が増えたとする報告を、熊本市中央区の菅健一歯科医師がまとめ、11月中旬に鹿児島市であった日本心療内科学会で発表した。
報告によると、菅医師の歯科医院で緊急の治療が必要な件数は、2016年1~3月は1カ月当たり3~7件で推移。ところが地震後の4月以降に急増して、6月は29件、9月は28件、12月は32件に上った。
症例は、奥歯をかみ割るなど「歯自体の悪化」が45%。腫れるなど「歯茎の悪化」18%、金属が食い込むなど「入れ歯のトラブル」18%だった。
菅医師によると、ほとんどはストレスで歯を食いしばることによるトラブル。「睡眠不足や避難所生活、被災後の仕事の不安などを抱えた被災者が多い」と話す。
歯を食いしばりったり歯ぎしりしたりすると、かみ合わせた部分に1平方センチメートル当たり60~100キロの負担がかかるという。食事(6~8キロ)の10倍の「負担」で、歯が欠けたり傷ついたりすると、雑菌が侵入して虫歯の原因になる。
対策として菅医師は、あごや歯茎のマッサージを推奨。あごの付け根周辺のほおをもんだり、奥歯の「親知らず」辺りの歯茎を直接触れたりすると、リラックス効果がある。また「普段の生活で、口を開けずに上下の歯を離しておくだけでも、歯やあごの負担が減る」と助言している。(林田賢一郎)
(2017年12月9日付 熊本日日新聞朝刊掲載)