【ブラックジャックを探せ】いびき、睡眠時無呼吸症候群…睡眠障害に歯科の領域から取り組む 東京医科歯科大学快眠歯科外来診療科長・秀島雅之さん


【ブラックジャックを探せ】いびき、睡眠時無呼吸症候群…睡眠障害に歯科の領域から取り組む 東京医科歯科大学快眠歯科外来診療科長・秀島雅之さん

いびき、睡眠時無呼吸症候群…睡眠障害に歯科の領域から取り組む 東京医科歯科大学快眠歯科外来診療科長・秀島雅之さん (1/2ページ) 長田昭二 ブラックジャックを探せ

2017.6.30

★東京医科歯科大学快眠歯科外来診療科長・秀島雅之さん(58)

 東京医科歯科大学歯学部附属病院に開設されている「快眠歯科」。いびきや睡眠時無呼吸症候群(SAS)などの睡眠障害に、歯科の領域から取り組む診療科だ。

 歯学部講師も務める秀島雅之科長は、当初の専門は口腔(こうくう)外科的な手術後の入れ歯(顎補綴)。その後も大学病院ならではの経験を積み、2014年から医科と連携して「快眠」診療を担当するようになった。

 SASの治療は、鼻から強制的に空気を送り込むCPAP(シーパップ)という機械の使用が知られているが、軽症の場合には、下顎を前に出す形になるマウスピースを装着して寝ることで、睡眠中の呼吸の確保が図られる。

 マウスピースには、上下一体型で顎が固定される健康保険型と、上下分離型でマウスピースを付けたまま口が開けられる自由診療型がある。

 「保険のマウスピースを作る時に最も技術と経験が求められます。歯並びや咬み合わせを変えずに、顎への負担を軽くするようデザインするのに、入れ歯で培ったノウハウが役立ちます」

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2017.6.30

 入れ歯の人には、「入れ歯を外して装着できるマウスピース」を作ることもできる。

 「材料の特徴を生かし、出し入れの方向を工夫した設計にすることで、下顎を前に出しても、歯や顎への負担を軽くできます」と語る秀島科長。

 歯科領域からアプローチするSAS治療のメリットを最大限に活用する。

 「朝の目覚めがまるで違うとか、ひどかった昼間の眠気がきれいになくなるなど、劇的な効果を実感する人は少なくない。重症のSASの人の中には、さまざまな制約からCPAPが使えない状況の人もいる。そんな人にもマウスピースを使うことで一定の改善効果が見られるので、気になるなら一度相談してほしい」(秀島科長)

 睡眠の質と健康は表裏一体。少し真剣に考えてみる必要はあるだろう。 (長田昭二)

 ■秀島雅之(ひでしま・まさゆき) 1959年、東京都生まれ。84年、東京医科歯科大学歯学部卒業。89年、同大学院歯学研究科を修了し、同大歯学部附属病院顎口腔機能治療部助手。99年、同大学院摂食機能構築学分野講師(部分床義歯補綴学分野)、2009年、同大医学部附属快眠センター講師併任。12年、同大快眠歯科(いびき・無呼吸)外来診療科長を併任。歯学博士。趣味は合唱とグルメ探索