歯と口の健康アラカルト:骨粗鬆症と歯科治療 /大阪 - 毎日新聞


歯と口の健康アラカルト:骨粗鬆症と歯科治療 /大阪

 今日、ご存じのように団塊の世代が年を重ね高齢社会を形成し、健康診断等において骨粗鬆(そしょう)症と診断されるケースが少なくありません。

 この骨粗鬆症とは、加齢に伴い骨質や骨密度が低下して骨の強度が低くなり、軽い転倒でも骨折を起こしやすくなる病気をいいます。骨粗鬆症自体による自覚症状はほとんどありませんが、骨粗鬆症の人が骨折を起こすと、背骨の変形や腰痛が生じ、寝たきりになってしまうこともあります。骨粗鬆症は、閉経による女性ホルモンバランスの変化、栄養のアンバランス、運動不足など、さまざまな要因による骨代謝の異常により生じることがあります。

 この骨粗鬆症の治療に使われるお薬として、ビスフォスフォネート製剤があります。このビスフォスフォネート製剤の重大な副作用として顎骨壊死(顎(あご)の骨が腐る)が知られています。歯科治療において、抜歯やインプラント治療等の骨に外科的な治療を受けた場合に、通常なら自然治癒する傷がビスフォスフォネート製剤の影響で治癒が阻害され、顎の骨が腐ってしまう場合があります。ただ、すべての歯科治療で問題が起きるわけではなく、虫歯治療や入れ歯の治療など通常の歯科治療には支障はありません。

 ビスフォスフォネート製剤は治療効果が高いことから、患者さんがこのお薬を処方されていることを知らないうちに服用されることも少なくありません。歯医者さんで抜歯やインプラントなどの外科的な治療を受けようとする患者さんは、現在服用されているお薬がビスフォスフォネート製剤かどうかを担当の医師、歯科医師または薬剤師にお問い合わせください。もちろん、このお薬を飲まれている場合は必ず担当の歯科医師にお申し出いただきますようにお願いいたします。(府歯科医師会学術部)


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