NEC難病コミュニケーション支援講座:難病患者、ICTで意思伝達 ALSの三保さん講演 中区 /広島 - 毎日新聞


NEC難病コミュニケーション支援講座:難病患者、ICTで意思伝達 ALSの三保さん講演 中区 /広島

視線入力パソコンを使ってあいさつする日本ALS協会広島県支部長の三保浩一郎さん=広島市中区で、信永真知子撮影

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 難病や重度の障害を抱える人が、情報通信機器を通じて社会とつながる生活を考える「NEC難病コミュニケーション支援講座 ICTフェスティバルin広島」がこのほど、中区の紙屋町シャレオで開かれた。

 難病患者がICT(情報通信技術)機器で意思を伝える社会づくりを目指すNPO、ICT救助隊(東京都)が共催。医療、介護従事者の他に、一般の来場者も多く訪れ、展示された意思伝達装置やスイッチなどに触れながら、開発担当者に相談したり、患者の話に耳を傾けたりした。

 デモンストレーションでは、日本ALS(筋萎縮性側索硬化症)協会広島県支部長の三保浩一郎さん(50)が、目の動きをセンサーが感知する視線入力パソコンを使って講演した。三保さんは歯科医として勤務していた2010年夏に突然、発症し、翌年末にALSと診断された。現在も歯科医を続ける傍ら、趣味であるオートバイレースの歴史などをまとめた著書「広島モーターサイクルレース全史」を出版するなど、積極的に活動する。講演では、誤(ご)嚥(えん)性肺炎になった経験に触れ「歯科医として口腔(こうこう)ケアの重要性を今後も提案したい。研究会での発表資料の作成に、視線入力パソコンは心強い味方になる」と話した。

 また、ALSについて「徐々に身体の機能が奪われていく様子を見て、多くの方が同情する。子どものように扱われるとつらい」と率直に話し、「歩けない代わりに車いすを使う、手で入力する代わりに視線入力を使うなど、失った身体機能を回復する機器がある。病気をかかえる人の思いを、その人の言葉で聞くこと。コミュニケーションには多様な手段があることを知ってほしい」と呼びかけた。【信永真知子】